2010年09月08日

【女将の一言】 千代不動滝

久しぶりに遅ればせながら、お盆明けに飯田市千代野池へお墓参りに行ってきました。
山付けにあるその墓地へは、幼少の頃より半分遠足気分で行っていた事を思い出しました。町の中にある当時すごく大きく感じた橋は「あらら、こんなにも小さかったかしら?」と思うような小さな橋でした。でも、山から流れてくる川の水は嬉しい事に相変わらずきれいで、思わず水遊びでもしたくなるような流水でした。千代不動滝1.jpg

山道を登り墓地へ着くと、先ずご先祖様の墓石を水で洗い清め、仏様の好きだった果物やお菓子、茹でたとうもろこしや冷えたビール、(田舎の山付けのお墓ですから後は、きっとカラスや猿が食べてくれるでしょうと…)お線香やお花をお供えして一通りお参りを済ませると、まだ充分時間が残っていたので法全寺という地籍にある「お不動様」へお参りに行こうということになって、車で向かいました。

当時(何十年も前ですが)に比べ、山の中とはいえそれなりに管理されて歩きやすくなっていました。
川面に近づくにつれ、緑の中からせせらぎの音が聞こえ辺りは心持ち涼しくなってきました。
細い山道を下っていくと、まだ青く若い栗のいががいくつも落ちていて早秋の気配を感じさせてくれました。

滝に近づくと、マイナスイオンたっぷりの爽やかな空気が細かい霧とともに辺りを濡らしていました。
「うわ〜い。涼し〜〜い。」思わず歓声が上がりました。
ちょっと川面に下りて水に手を入れてみました。冷たい!さすが山の水。透明な水が岩肌にぶつかって水しぶきが真っ白に、少し青みを帯びてさえ見えます。夏の涼とはこういうことかぁ。
しばらくそこで涼んで、お不動様にお参りをして帰ってきました。山道を車道に上がると、山の中とはいえそこには夏の暑さでムッとする空気が漂っていました。

何故、「千代のお不動様」へお参りに行ったかというと…それはそこのお不動様が私の実家の父の守護神だったからです。
というのは、私が子供の頃父がよく話してくれたのですが、それは父の生々しい戦地での体験談でした。

当時父は、激戦であったインパール作戦に参加していて、過酷な戦争を生き抜いてきたからです。
父は軍曹で、ひとつの部隊を率いていました。前線においてみんなで壕を掘りながらそこに入って敵の弾をかいくぐって、更に進軍していたのでした。
そんなある時、皆で壕を掘ってそこに入ろうとした時、「待て、退却!」という心の声がして、思わず部隊の皆に大声で『退却!退却ぅーっ!』と叫び、全員その部隊だけ退却したのだそうです。すると間髪いれずに、その壕を掘った場所に爆弾が投下され、近くにいた別の部隊の兵隊さんたちは逃げ遅れ、ほとんど全員吹き飛ばされ亡くなってしまい、父の部隊だけが生き残ったという事でした。そして、我に返ってふっと胸のお守りに触れると、そのお守りが真っ二つに割れていて、父はそこで『お不動様が身代わりになってくれたんだ。』と感じ、思わず深い祈りを捧げたというのです。そのお守りは、戦争に行く息子(父)の為にその母(私の父方の祖母)がお参りをして貰い受けて来てくれたものだそうです。そのようなわけで、戦地から無事帰ると、父は先ずその千代のお不動様にお礼参りに行ったという事でした。

そんな話を思い出し、父の墓参りの後、そのお不動様に父の思いを繋いでお参りに行ってきたのでした。
女将 児島敏子
posted by 三宜亭本館 at 10:52| Comment(0) | TrackBack(0) | スタッフ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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